過去からの手紙「古強者の物語」


文士カーラキマイオス 兵士フォンダルースより聞きて之を書く。その言葉、誠なり。


兵士らルルンより7日、日の沈む側へ進軍セリ。7日目に大きな川へ達す。夜間20人死セリ。

グリスバルドースなるもの語れり。生霊が阻んでいる。

この言、ローゼントスに伝えし者アリ。ローゼントス怒らず。

将ら指揮官に訴える。グリスバルドースは危険ナリ。ローゼントス処刑に異議をとなえる。

将ら「悪霊を放置はできず」と申せり。嘆願にローゼントスうなづく。

明け方、ローゼントスに忠誠な3名、グリスバルドースを処刑。

グリスバルドース、樫の元、石積に埋められる。

河上への進軍中、グリスバルドース賛同者たち、陰で不平をもらす。


川沿いの道、沼の岸辺で閉ざされ馬にて進めず。

ローゼントス、将ら集め策をたずねる。

エススプシオースとメルコース、戻るべきと言いしも、

フォンダルース筏を作ること勧めたり。ローゼントス同意し、兵ら40の筏をつくる。

筏に果物と水を山と積みたり。かの沼を渡る道、不明なるがため。


軍、3日の間、沼を旅す。ヘドリック消えたるは此処ナリ。5名、高熱を発し失われる。

3日目にトゥリム・フェアビルド、竿の上の村を見つけたり。村人、細長き船で兵を迎え招きたり。

ローゼントス、村長を筏に招き偉大なる君主について話せり。

ローゼントス、ガラスと象牙、多数贈りたり。

長よろこびて、夜、祝宴に招きたり。

皆たらふく食べるも預言者ケリード・ベイ、此処を離れるべきと言いたり。

ローゼントス、皆に靴を履いたまま眠るよう命ず。深き霧降りて、隊密かに村を離れたり。トウリム・フェルビアドをその夜に失えり。



長き夜の後、一つの村見つけたり。

ローゼントス、先の暗き夜を思い出し、村を過ぎ越し住人に合わぬことを命ず。

隊、茂みと格闘せり。近づきたる茂みより矢の雨降りかかりたり。

数多の戦士、カヌーと呼ぶ細長き船で現れたり。トゥモーラの筏襲われ多くが殺害されしも、ローゼントス、筏を集めるよう命じ戦い、隊の射手、かの敵を寄せ付けざりし。

朝に始まりし戦、終日続きたり。遂には戦士らの長、近寄りて兵士らに許しを請う。

その言葉は奇妙なれどケリード・ベイ、意を伝え曰く。第一の村の者どもは悪魔にしてこの村の敵である。我が兵士らの筏を悪しきものと思ったのだ。

長、金と羽毛をたまいて、兵士ら全ての食事を用意させたり。

兵ら久々に深く眠りたり。しかしローゼントス、皆に靴を履いたまま眠るよう命ず。


その日、隊は7名失えり。トゥモーラ頭に矢を受け、フォンダルース総身に傷おいたり。

7日間、ローゼントス、この村に留まる。夜ごと長と長話し、日ごと、長と戦士ら金と宝石をたまいたり。

遂に将らローゼントスに申せり。「我々、長の気前に驚くばかり。長と話されている閣下は宝のありかはご存知でしょう。

分け前をくださるなら、閣下には大将としての報酬を誓います。公爵の収税と宝物を司る財務大臣にしてしんぜましょう。」ローゼントス同意す。


翌日、長を訪れたる時、ローゼントス言葉巧みに財宝ありかを聞き出す。

湿原のはずれに石の館あり。そして警告するに、彼の地の周囲、悪霊満ちて其処へは勇者のみが至る。ローゼントスが悪霊を払うなら道を指し示そう。ローゼントスうなづき将らを集める。

用意するが、熱病が襲い、沼の臭気は隊に帰還を促す。

翌日、40の兵が発ちたる。


初日、沼の魔獣が隊を襲撃す。筏を一つ飲み込み、乗りたる者、皆失えり。ケリード・ベイ傍らに投げ飛ばされたり。兵士ら矢を放つも、痛手少しも気にせず水底のケリード・ベイをさらう。

その日、将メルコース、預言者ケリード・ベイ、兵6名が失われる。

その夜、村人大いに火を焚きて歌う。歌詞の意味を知るものなく、悪霊を呼ぶ死の歌だと言い張るものあり。


翌朝、ローゼントス、兵を起こし皆に金塊を約束せり。

2日目、長が隊を乾きし地に導きたり。彼の地こそ悪霊と財宝の地なり。

ローゼントス、将に意見を求めたり。戻りて筏の残りを待とうと言うものあれど、フォンダルースら沼の魔獣に会うことを望まず。

ローゼントス、分隊を残し筏を守らせる事を決め、残りの兵を率い奥地へ進み石館を求めたり。


数週間が過ぎ、兵士ら残され、ローゼントスの命を待つも、災厄が兵士らをとらえ、ただ5名のみ残されり。フォンダルース、村へ戻るが賢明となし、暫く其処で体を癒す。

一つの筏を借り、兵士ら其処を離れる。

道すがらフォンダルース熱病に悩まされる。果てに戻る事ならず。

兵士らフォンダルースなくして村を見つける事あたわざりき。

探りて湿原を抜け出し、彼ら、将フォンダルースを公の地へ連れ戻る。

彼、かく生き延びて話を語れり。